ロシアワールドカップ、グループリーグ第3戦目はヴォルゴグラードという南の町だった。とにかく暑かった。暑くて体中の水分が蒸発してしまいそうなくらい暑かった。スタジアムで普段は飲まないコーラを飲むと、体中の細胞がシュワシュワと弾けるようだった。
この試合、試合終盤は日本チームがただただボール回しをするという、衝撃的な展開だった。結果はグループリーグ突破、Round 16へ進んだのだが、あの戦いぶりを灼熱のスタジアムで呆然と見ていた私は、いつまでもスッキリしなかった。
以下、2018.07.02に書いた文章を転載。
まだロシアにいる。当初6/30モスクワ発の成田行きに乗るはずで、ポーランド戦後はうれしさなどまったくなく、こんなロシアの田舎町まで遙々やってきて、ボール回しかよ！こんなものを見たくてここまで来たのかよ！ってただただうなだれて、もうしばらく日本代表は静観しようと思っていた。思っていたんだけど、翌日になってじわじわと、遂に日本がR16に進むっていう現実を受け入れて、ブラジルW杯での敗北感から一歩進んだロシアW杯の今をようやく受け止めて、帰国便の変更をした。
ヴォルゴグラードにいる間は、予定通り帰国するつもりでいた。モスクワへと帰る飛行機の中で夕焼けの上からピンク色の雲を眺めている間に、私がこれまで応援してきたものは一体なんだったのだろうとか、あれこれと思いを巡らせた結果、行かなきゃ！という思いに至った。なんだろう。世界のトップ16に日本が入っていることに、震えるほどの気持ちがわき上がってきたからというか。
23時頃、シェレメチェボ空港に到着して早速手配にかかった。FIFAのサイトではリリースされたベルギー戦のチケットが定価で売られていた。とりあえずカテゴリー3がないならカテゴリー2を買おう。もし、試合に行けなくてもRound 16の記念としてでも買っておこう。
Aeroexpressで空港から市内へ向かいながら、ロストフ往復の飛行機を予約すべくあれこれ調べてはみたものの、既に往復7万円前後に値上がっていた。これは無理だ。せめて行きだけでもFIFAの無料列車にしよう。買ったばかりのベルギー戦のTicket IDを使い、行きの電車を予約した。あとは帰りの飛行機だ。これは、帰国便の変更ができたらすぐに予約しよう。
ホテルに戻ると0：30を回っていた。帰国便はロシアの航空会社S7で、変更手続きは電話のみ。しかも、こんな深夜にロシア企業が電話の応対などやってくれるだろうか… やってくれた。電話の向こうでロシア人スタッフが英語で対応してくれた。6/30の帰国便を7/3に変更したいと伝えると、その日は空席がなかった。ならば、7/4はどうだろう。この日の空席がなければ、私はRound 16を見ずに帰国するつもりだった。空席があった。変更手数料は2700 RUB、約5000円ほど。まさか50万円ではないだろうと、念入りに確認をしてカード番号を伝えた。続いてパスポート番号も。しばらくして予約変更の確認メールが届いた。約40分ほどの電話のやりとりは、私の英語力のなさゆえにかなり難航したが、なんとかうまくいった。
ロストフからモスクワに帰る飛行機は、予算3万円。行きが無料になった分、仕方がない。ラスト1席を予約した。
私は今ロストフにいる。ホテルでシャワーを浴び、仕事をして、食事をしたら早めにスタジアムに向かおう。
