2018.06.19 Saransk, Russia – 黄色く染まった町の奇跡

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あまり奇跡という言葉は使いたくないが、あれは奇跡だった。メディアでは「サランスクの奇跡」なんて見出しが躍ったが、大げさではない。ワールドカップ第一戦、日本がコロンビアに1-2で勝ったのだ。ロシアの小さな町まで応援に行っておいてなんだが、勝てる相手ではないのだ、コロンビアは。だって、ブラジルワールドカップの3戦目で半ば遊ばれてしまったのを見ている。ブラジル、クイアバのスタジアムで泣き崩れ、力尽きた。だから、ロシアでもまたコロンビアと戦うと決まったときに、またあれを見るのかとため息が出てしまったくらいだ。

試合前にあれだけ挑発していたコロンビアサポーターが、試合後は「おめでとう、いい試合だったよ」と握手を求めてくる。これが、サッカー文化の根付いた国のサポーターなのだと心打たれた。逆の立場なら、私は決して「おめでとう」なんて言えない。それから、サランスクという小さな町のホスピタリティが完璧だった。聞けば、長い時間をかけてボランティアが準備を重ねてきたというが、準備をすればここまでのおもてなしができるものかと感動した。

サランスクはホテルが取れなかった。それで深夜2時頃出発するFIFAの無料列車でモスクワに帰ることにした。それまで時間はたっぷりある。町の中心にある広場は、ユニフォーム姿の人たちで埋め尽くされていた。芝生に寝転んで、スーパーで買ったジントニックを飲んだ。あれから何年もジントニックは飲んでいない。

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