夢のような試合が終わった。ベルギーに勝てると思った。勝ったら世界8強だ。あの瞬間、「昌子!走れーーーー!」と力の限り叫んだ。当時、鹿島アントラーズの選手だった昌子選手。特別な思いがあった。あのシーンは、あれから何度も何度もテレビで目にした。日本代表のロシアワールドカップは、あの瞬間終わった。
試合後、ロストフの街角でワインを飲んだ。しくしくと泣けてきてしまうのはなぜだ。悔しいのか、悲しいのか、誇らしいのか。誰とも語り合いたくない。一人でひとしきり飲んで、宿に戻ってもまだ涙がツーッと流れてくる。サポーターとして全力でやりきったロシアワールドカップが、終わった。
モスクワに帰ってくると、「日本人か?とてもいいゲームだったね」と何度か声をかけられた。多くの人があの試合、日本を応援してくれていたのを知った。
2022年のワールドカップはカタール大会だ。ワールドカップは4年に一度、サッカーファンとして最大の楽しみであり、生きがいみたいなものだ。年を取り、体力もなくなっていく。カタールは一回休みかもしれない。その次のワールドカップまで、体力を付けておかないと。
ハーフタイムに、高校生の男の子がメッセージの書かれたダンボールを掲げていた。
パパはこう言った。大学かワールドカップか。YES!僕はここにいる!
スタジアムで拍手が湧き上がる。最高!