耳下腺腫瘍 入院2日目

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お布団がびっくりするほど薄っぺらくて、昼間の暖かさとは一転して寒かった。毛布はない。寝ている間、空気が乾燥するので、できればエアコンは切って寝たいが、それだと寒い。一応、エアコンは低めにつけて寝たものの、昼間とは打って変わって体が冷えてしまった。

やっぱり毛布を借りようと看護師さんに相談すると、貸出できる毛布はないという。お布団も皆さん1枚だけですけど、もう1枚使います?という感じで、「寒かったらエアコンで調整してください」と。エアコンは苦手だと前置きして「いっぱい着込んで寝ればいいですね!」と言うと「はい、そうですね」と冷たい言葉が返ってきた。ここでもやっぱり、個室の高額な金額が頭をよぎってしまう。毛布も貸してもらえないとは。

明日の手術を前に、今日は一日やることがない。テンションのあがらない朝ごはんを一点見つめて食べる。

シャワーは共同で予約制、しかも最終は15:30。その最終回も他の人が予約済みだったので、15時からの利用予約した。

「え!シャワーの予約まだなんですか!明日手術なんで、シャワー必ず行ってくださいね」

と看護師さんが言う。私はシャワーに行かないなんて言っていないし、これから予約しようとしただけだ。毛布の件といい、なぜシャワー浴びない人みたいな言い方するのだろうと、朝からやややさぐれている。

日曜日ということで、外来の患者さんもいない。この病棟から2階に下りて、渡り廊下で別棟へ。8階に庭園があると聞いて、あたたかい紅茶を持って散歩に出た。入院中は外出禁止だけど、この庭園だけは「外」の空気をいっぱい吸える。同じく入院患者さんが1人だけいて、私と入れ違いに帰っていった。病院内では、患者さん同士で顔を合わせることがほとんどない。会話もない。

旅行トランクに荷物を詰め込むのは楽しい。それが旅じゃなくて入院でも、必要最低限かつ必需品を厳選して集める作業はちょっとわくわくする。次にこのトランクに荷物を詰めるときは、旅行であって欲しい。

入院2日目のお昼ごはん。ごはんに期待しないことを覚えたので、もう何がきても穏やかに受け入れる。

テーブルにクリップで固定するスマホスタンドは、スマホの重みでゆらゆらして使い勝手が悪い。これはいらなかった。スマホのネックホルダーは首に負荷がかかるので、これを使うくらいならMacbook開いた方がいい。不必要なものを厳選してしまった。Macbookとスマホがあるので、タブレットもいらなかった。

18時の夜ごはん。これはダイエット合宿だ!と思うと乗り越えられそう。それにしても少ない。ホウレンソウも茹ですぎている。食後にコンビニで買ったとっておきのヨーグルトを食べたら、おいしさが身に染みた。0時から絶食なので、食べるなら今のうち!と、プリッツを少し食べた。

昼と夜、担当の看護師さんが交代すると、部屋にあいさつにやってくる。今日の夜担当の看護師さんが病室を出たあと、香水の残り香がキツかった。若い男性だった。そして、お部屋のお掃除は毎日やってはくれないらしい。毎日のシーツ交換は必要ないが、ごみ箱のごみを集めにくるだけで、掃除機をかけるでもなく、トイレや洗面台を掃除するでもなかった。床に落ちている髪の毛を拾い集めて捨てる。せめて、料金分のサービスは受けられると思っていたんだけど。

インスタグラムの猫アカウントを見ると胸が張り裂けそうになるのであまり見れない。そのくせ、つい室内カメラで留守番中の猫の様子を見てしまう。洋服に付いた白い猫毛を見つけると泣きたくなる。

明日の術後から身動き取れないので、Netflixを契約。病院の超低速回線でもかろうじて動画視聴できる。韓国ドラマ「梨泰院クラス」を見始めたら、1話で話が盛りだくさんすぎてお腹いっぱいになってしまった。入院中に全16話見終わるだろうか。明日の手術を前に眠れず、2話見終わった。もう寝なければ。

病院では当然ながら、みんなマスクをしている。恐らくお世話になった看護師さんに次どこかで会っても、わからないと思う。顔が半分隠れているので、その人の個性も隠れている。顔が見えないとお互いあらゆる感情を消して、事務的に機械的に接しているような気がする。

4人部屋のベッドは空きが目立つ。就寝時間に廊下に出ると、部屋のドアを開けたまま、仕切りのカーテンだけ閉めて何人かが寝ている。コロナで病床が足りないという切羽詰まったニュースが連日報道されている一方で、一般病棟は、だいぶゆとりを感じる。もちろん満床だと受け入れできなくなるので、ゆとりは必要なのだけど。

いよいよ明日か。手術しようと決めてから約半年、ようやくこの日が目前まで迫ってきた。心がざわつく。腫瘍の表面に神経が走っているか、それとも腫瘍の下にあるかで、手術の難易度も変わってくるという話しだった。後遺症が残るかどうかが、一番心配だ。とにかく切って、皮膚をめくってみないとわからない。後遺症が残らず、うまくいきますように。

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