耳下腺腫瘍 入院6日目(手術3日後)

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起き上がれないほどの痛みもなく眠れた。今日も青空だ。

首からの排液もほとんど出ていないので、管が今日やっと取れる。この袋ともさよならだ!

午前中に処置室へ行き、座った姿勢のままで管の差し込み口、皮膚を縫い付けてある糸を切った。それほど痛みを感じることはないものの「糸、切ります!」の声に恐怖が押し寄せ、悲鳴に似た声が出てしまう。それから、わりとあっさりと首の管を抜いた。抜いた瞬間、血がどっと吹き出るようなこともなく、絆創膏を貼っておしまい。自由になった!

傷口は鏡には映らないので、スマホで写真を撮って確認する。耳の前から耳たぶの下、首の後ろへと切っていて、これなら元のおかっぱでも隠れそうだ。1年かけて伸ばした髪は、切ってしまおうか。

どちらかというと切開手術した傷口よりも、管の刺さったところの方が痛かった。違和感というか気持ち悪さがたまらなく嫌だった。点滴と首の管が抜けて、ようやく開放されて深呼吸ができた。少しずつ右側を向けるようにもなってきた。くしゃみは傷口が痛むのでちょっと気を使う。

お昼ごはんを食べて、4日ぶりに髪を洗った。右耳はまだ感覚がなくて、触れると異物が顔にくっついている感じがある。「顔になにかが。あ、私の耳か!」という感じ。どの辺までお湯をかけていいのかわからず、いつもよりだいぶ時間がかかった。

「耳の感覚は100%には戻らないよ」と回診の先生が言う。え?そうなの?と思いつつ、90%くらい戻ってくれたらいい。耳よりも顔の右側の違和感というか、反応の鈍さがいつまで続くかが心配だ。まだイヤホンは入れられないし、マスクのゴムもうまく引っ掛けられない。4人部屋だったら、イヤホンも使えずストレスも大きかったかもしれない。個室なので、8:30の消灯を過ぎても電気を付けたまま、イヤホンもせずにテレビを見たり、音楽を聞いたりしている。

今日も先生に退院日の相談をする。

先生「日曜の予定でいたんですけど。もしくは月曜。」
私「(月曜なんて冗談でしょ)そこを土曜で!できれは明日で!」
先生「明日はちょっと」
私「じゃあ土曜ですね。土曜退院で!」

と粘っている。先日の看護師さんとの話しでは、首の管が抜けた日はさすがにダメでも、翌日ならなんとかなるかもという話しだった。その話が先生には通じなかった。

大好きなカヌレ!お友だちが差し入れてくれたので、ボトルにお茶を入れて外に出た。ボルドーで食べ歩きをしたのが懐かしい。世界的なワインの産地フランスのボルドーでは、ワイン作りに卵白を使う。泡立てた卵白を樽に入れることで、ワインの中の不純物を取ってくれる。大量に余る卵黄を活用してつくったお菓子がカヌレだ。ボルドーのパティスリーには必ずといっていいほどカヌレがあり、カヌレ専門店も多い。PAULのカヌレは日本であれこれ食べた中でも、本場の味に一番近い。

地下のコンビニで2リットルのミネラルウォーターを買い、ふと13階の病室まで階段で登ることにする。ところが、階段を使っているのは白衣を着た方たちだけで、パジャマを着た患者さんは誰もいなかった(あとになってわかったが、多分患者さんは階段を使ってはいけない)。運動不足がたたって5階で断念。5階には手術室がある。3日前、ここで手術をしたのがウソみたいに、今日はとても静かだった。

夜ごはんのもやしすっぱい。大根おろしに醤油がない。長期で入院するときは、ごはんのお供、調味料とか必要だ。そういえば、地下のコンビニには患者さんが好みそうなちょっとしたおかず、ふりかけ、調味料も揃っていた。

Netflixで韓国ドラマ「梨泰院クラス」全16話見終わった。韓国ドラマを見るのはいつぶりだろう。コロナがなければ勢いで梨泰院に遊びに行っていた。今後、「梨泰院クラス」に触れる度に、この入院の日々を思い出すのだろう。

夜ごはんのあと、いつものように仕事をする。いつまでもここで寝ているわけにはいかない。早く退院して、全力復帰しなければ。とっておきのプリンは、夜ごはんのあとで食べた。

看護師さんが食事を下げるタイミングで、絆創膏を持ってきてくれた。首の管を抜いたところに貼っていた絆創膏が、シャワーを浴びたときに濡れて剥がれかけていたので、替えをお願いしていた。看護師さんに頼んで、管が抜けた穴の写真を撮ってもらった。想像していたのとは違って、もうほとんど傷口は塞がっていた。絆創膏貼らなくてもいいくらいだ。人間の体はすごい、私の体もなかなかすごい。

手鏡があれば、もう少し自分で傷の観察もできそうだけど、そんなときにはスマホのカメラだ。耳の後ろにスマホを構えて、何度もシャッターを押してみる。

自宅の室内カメラを見ると、猫たちは玄関前でずっと外を見ていたり、窓の外を見ていたり、帰りを待っている様子だった。今日も猫シッターさんが来るのが待ち遠しい。猫たちもそわそわして待っている。19時過ぎ、待ちに待った猫シッターさんだ!猫たち大喜び。今日はちゅーるももらったし、ラバー手袋で毛のお手入れもやってもらった。毎日少しずつ、猫シッターさんと仲よくなっているように見える。猫が好きな人にお願いできて、本当によかった。

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