耳下腺腫瘍 入院7日目(手術4日後)

入院7日目(術後4日目)、シャワー浴びる以外のイベントがない。今日も食事中に回診があって、明日退院の許可が出た。

右耳の感覚はまだほとんどないけど、日々本当にちょっとずつ回復しているのがわかる。術後は異物が顔にくっついている感覚だったのが、人間の耳に少し近づいてきてる。

お昼ごはんを食べながら、室内カメラで猫たちの様子を見守る。今日は猫シッターさんが昼の早い時間に来てくれて、猫たち甘えまくっている。猫たち!明日帰るよ!

こんな過保護なフルーツ見たことない!というほど、厳かなな佇まいの3粒、お友だちから差し入れでいただいた。ああ、なんて美しいのかしら!食べたい気持ちと名残惜しさの戦いがしばし続いた末に、心して堪能した。明日退院だからと、フルーツ好きの私に食べきれるものを選んでくれたようだった。あたたかい心遣いが、いつも以上にうれしい。

連絡通路の向こう側、別棟の8階に庭園があるというのは、入院初日に看護師さんから教えてもらっていた。「散歩するにも、行くところもないですよね」と尋ねたら「外出はダメですけど、隣の8階は出てもいいですよ」と。この庭園に行くだけで、気分転換になった。恐らく、知らないまま病室に籠もっている患者さんも多いんじゃないだろうか。入院中は、連日青空だった。

病室に戻る前に、体重を量った。この1週間でだいぶ痩せてしまった!と思ったら、大して変わっていなかった。むしろ、病院食の反動で好きなものを好きなだけ食べて、もっと太りそうな予感がする。危険だ。

夜ごはん。あたたかくない八宝菜。食事中に先生がやってきて「明日退院ですね」と一言だけ言って、5秒足らずで部屋を出て行った。傷口を見るでもなく、体調を聞くでもなく。それ以外の言葉もなくて、びっくりする。せめて回復の確認をしてほしかった。そうでなければ、何をもって退院なのかわからないではないか。術後の経過を確認しないのなら、昨日の退院でもよかったのでは?と思う。そして、この「明日退院ですね」というのが最後で、退院日に医師に会うことはなかった。

食後にお茶を入れて、甘栗を食べた。

インスタグラムで同じく耳下腺腫瘍の手術を受けた方がコメントをくれた。

  • 4ヶ月ぐらい日焼けはダメ
  • マイクロポアテープで保護すること
  • シカケアクリームも併用する

なぜ病院はこういうことを教えてくれないのだろう。手術翌日、歩けるようになってすぐ別棟の庭園で太陽浴びまくってしまった。そのことを看護師さんに確認すると、今の季節は紫外線の心配はいらないし、気にする必要ありませんと言い切る。手術したのが顔だし、なるべく傷が残らないようにしたい。紫外線は気にしないより、気にした方がいいような気がする。それから、お酒はいつから飲めるのか、お風呂は入ってもいいのか、聞くのを忘れた。聞かなければ、病院側から教えてはくれない。

ツイッターで耳下腺腫瘍を公表したこともあって、同じ時期に手術した方とやりとりができた。入院中は誰ともわかりあえなかった思いがあったので、この病気を共感できてうれしかった。そういえば、私と同じ日に耳下腺腫瘍の手術をした方が同じフロアにいる。その方は、順調に回復しているだろうか。退院はいつになるのだろうか。コロナがなければ、入院中におしゃべりして何か共有できたかもしれない。

入院中も「コロナがなければ」と思うことは多々あった。息苦しさを感じることもあった。

  • 院内にお見舞いの人々が誰もいない
  • お見舞いのお花を見かけない
  • すれ違っても誰とも挨拶もしない
  • 患者同士もほとんど会話をしない

マスクをしていても、すれ違うときの挨拶くらいはできるだろうと思うが、この病院では徹底して誰とも挨拶しなかった。庭園やコンビニに行くときに、コートを着てすれ違っても、看護師さんから声をかけられることもなかった。挨拶をしない病院。だから私も、あえて「コンビニ行ってきます」「ちょっと散歩に行ってきます」とは言わなかった。

東京の町が暮れていく。病室でいつものように仕事をする。夜、首の絆創膏を剥がすのを看護師さんに手伝ってもらった。管が刺してあったところは、自分では見えない。絆創膏を剥がすにも、髪の毛に張り付いてなかなか剥がれなかった。

明日退院だということは、担当の看護師さんも知っているはずだけど、そのことには一切触れない。回復してきましたねとか、退院決まってよかったですねとか、期待してはいけないのだろうか。入院中、人間として扱われていないなと感じていて、その思いは日に日に増す一方だった。

とにかく、明日手続きが済んだら早く帰ろう。雨予報だ。

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