平べったい桃

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この写真は、ロシアワールドカップ一戦目のあったサランスクの市場で買ったもの。

ヨーロッパでよく平べったい桃を買っていた。電車に乗るときも、いくつか持ちこんで移動中に食べたりした。パリでもボルドーでも食べた。モスクワでは、宿泊していたホテルの近所にある小さな商店でミカンやリンゴと並んで売っていて、毎日のように立ち寄っては買っていた。とにかく、日本ではあまり目にすることのない平べったい桃が夢のようにおいしくて、その上とても安かったので、スーパーや市場で探してはグラム単位で買っていた。

蟠桃(ばんとう)というらしい。孫悟空と猪八戒が食べた不老不死の桃で有名とか。日本でも手に入るようだが、あまり生産されていないようで高価すぎる。だから、ヨーロッパで見かけるとテンションが上がる。

2018年の夏、ロシアワールドカップでグループリーグを突破し、モスクワからロストフへ向かうときも平べったい桃をいくつかリュックに入れてFIFA列車に乗り込んだ。この列車は、ワールドカップのチケットを持っている人なら無料で乗ることができた。だから、サッカーファンが列車まるごと占拠したみたいな熱気があった。単刀直入に言えば、むさくるしいサッカーファンの男たちでムンムンしていた。二段ベッドの上には、パイナップル柄の靴下を履いたペルー人の男性が寝ていて、狭い列車の通路で一緒に平べったい桃を食べた。彼とは今も、インスタグラムでつながっていて、ペルーの暮らしを垣間見るのが楽しい。

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